そして明日の世界より―― | メーカー | etude | 発売日 | 2007/11/22 |
シナリオライター | 健速 | 原画 | 植田亮 |

レビュー | ||||||
シナリオ | グラフィックス | 音楽 | 文章(力) | システム | 熱中度 | 余韻度 |
2点 | 5点 | 3点 | 3点 | 4点 | 2点 | 2点 |
総評
D:
53
|
一言で締めるのコーナー
「主人公に石を投げたい」
「主人公に石を投げたい」
以下詳細レビュー
シナリオ 2点 |
命題とかひっぱるから『こなかな』の如く"進みやしない"
公式HPに公開されている情報まででのストーリーとしては
3ヵ月後に地球が滅亡すると決定した中で、少年少女たちはどう生きるか…、なのだが、
当事者になれない物語なんて必要ありません。
当初私が期待していた物語というのは、何ていうか…、そう…、
『漂流教室』とか『バトルロワイヤル』や『SWAN SONG』だったわけなのだが
この物語の基本は、登場人物全てに実害はなくあらゆる面において切実ではないという現実の中、
勝手に切実な状況を想定して行動しているということであり、それが最大の問題。
(ぶっちゃけ、自暴自棄になった島民がヒロインを××したりとかの状況の方が納得できる。
主人公に島民が〜〜するのは"当然"である。あんなの現実にやってたら目も当てられないDQN多妻。
私も彼に『よく調教してやがる』といいたいぐらい、ヒロインが盾になってる
島民は常識人で倫理人、遠巻きに叱ってくれてます)
全体の流れは平坦すぎ。笑いの要素と毒の要素が皆無なため続けるのが億劫
共通→個別シナリオが不可解、特に主人公の心情や青葉全般。
整合性が取れてない選択肢後のシナリオ構成にもビックリ。
共通→一般シナリオ→Trueは可もなく不可もなく。
焦点が妙にぶれており、"家族"という伝えやすい面を放棄しているのは何故だろう?
構成も説明ちっくでほとんどが氏んでいる。
『クロスチャンネル』のように既に構築されている人間関係を説明せず、
物語の中でユーザーに主人公と他者の関係性を把握してもらう、のような設定なら物語性はあったのに、
続けられてきたはずの日常を説明されては違和感が拭えず楽しみようもない
全体の感想は、"物語としては失敗"、である
健速氏特有の"命題"売りの道具として使われた感が否めない
シンパシーもほとんど得ることができず、上っ面を整えた脳内妄想抽象作品
……だってほんとに"面白くない"ですから(苦笑
オチをスルーして、キャラクターを縦横無尽に走らせる恋愛物語だったかにしのの方が楽しいのは当たり前
主人公云々は文章項目へ
グラフィック 5点 |
この方の絵を見るためにやるゲームである
驚きなのが、背景すらご自身で書いていらっしゃるということ
グラフィック全般の処理やら彩色も、アシスタントさん二人のみの自身がチーフという超人さ。
世界を一貫に構築できる方として最高峰でしょう
正直、私はイラストレーターとしての知識がないため、あの素晴らしい絵を言葉で表現することはできません
実際に見て実感をしていただきたいです
問題は、キャラクターデザインが終わっているという点(笑
二人合わせてサテライトキャノンもびっくりです(笑
音楽 3点 |
"綺麗"であっても"コレは!?"と思える曲がない
ボーカル曲は各Endものは多分絶望します、歌がなければ4点なのだが……
return to the placeだけは合格
Trueのあの曲は題名自重ですが、オリジナルではないので評価できません
文章(力) 3点 |
語彙力のなさが露呈してしまいました
キャラクターの描き方について
全体:妙にテンプレートな思考をそのまま口に出していく彼・彼女らはとっても幻想的(悪口
主人公:最低。氏んでください
某ルートで、相手が自分のことを好きだと気づいているのに「結婚しよう」と冗談でほざいたり、
彼女できなかったらもらってやるからと予防線張ったり、
お互いの状況を綴った隠喩物語を聞かされても「はぁ?意味不明じゃん」の思考回路で一蹴したり(ユーザーとのシンクロ率0)
告白に対して「考えたこともなかった」の返答。 仁くんなら立ち直れません
親の愛を天秤にすらかけずスルー
という、本当に一貫性のかけらもない、思慮の足りない厨な印象を受ける描き方
4人のヒロインを常にはべらせていたり、偽善者と自己を認識できない偽善者であったり、
すぐに化けの皮がはがれたり、本当はヒロイン達を信じていなかったりと、
作中での"優しい"主人公というヒロインらの表現は
ヒロイン達にとって、都合いい部分しか見せず安心させてくれる、いわゆるホストの意味で"優しい"としか思えない
まだ、食堂でお茶をみんなに運んでくれる人の方が等身大の優しさを感じる私である
ヒロインズ:青葉は何だかんだいって自分ルート以外存在の意味0
夕陽は、"がんちゃんといつも一緒"という設定を、選択肢で完全に無視する
姉は見てられない(笑
御波は安定かと思いきや、健速氏特有の実問題スルー型
家族:「困ったら助けてやる」な愛ある家族なはずなのに
どんなことが起こってもとことんスルー方針。 というか描く気がない
×を×××れるのはもちろん、××××まで起こってるのに完全スルー。
命題を意識するのはいいが、魅力的なキャラクターを描く前提の、
確固たる理由付けや、言動の一貫性、主義主張の統一化をおざなりにした文章だったことは否めない
各キャラクターの描写不足も問題で、不必要な日常シーンをダラダラ流されてもどうしようもない
システム 4点 |
しかも、美しいのユーティリティだけであって、ゲームの演出は弱い
立ち絵がフェードアウト変化しないのは植田亮氏の画を殺すことになっている
選択肢の既読選択の色彩変更が青から白(?)であって、
カーソル合わせで白に発光するため、何がなんだか分からない
陰陽をあらわす二色か、せめて否定系の色を使ってほしい
スキップが鈍足
速度重視の設定にすると文字がディブゾルアウトになり、気になってプレイできない
上記全てを覆い隠せるほどシステムユーティリティは美麗
ゲームのシステムとしては失敗だが
熱中度 2点 |
こんなダレダレとプレイを続けるのは拷問以外の何物でもない
一周目で主人公を嫌いになった場合は放棄確定でしょう
切実さと現実感のなさが緊迫感を拭い、癒しの要素を仮想切実で拭う
余韻度 2点 |
別にどうこう感じるようなラストではなかった
家族スルー型のため、家族や嫌いな主人公が出る途端盛り下がる
プレイ時間に見合った感動を全く与えてくれない
植田亮氏の絵が素晴らしい、という一点だけが好印象
総評 D |
私にとっては大きく期待を裏切られる作品となった
物語性を命題に奪われるという点を鑑みると
健速氏は、リアル思考の物語を、他者企画で描くといいものになる…かもしれない