2007年12月09日

キラ☆キラ

キラ☆キラ
キラ☆キラ
メーカー OVERDRIVE発売日 2007/11/22
シナリオライター 瀬戸口廉也 原画 片倉真二
キラ☆キラ

レビュー
シナリオ グラフィックス 音楽 文章(力) システム 熱中度 余韻度
4 4 5 5 2 4 4
総評 A 83

一言で締めるのコーナー
「君は決して"人間失格"じゃない」


以下詳細レビュー
シナリオ 4点

 広い。広い!広い!!

 いやぁ〜、騙されましたねぇ、第一章の学園祭編が序章に過ぎなかったなどと……
とにかく世界(観)が広い! 学園だけに収まる話じゃなかった。
OHPに公開されているの話してしまうが、二章は日本南列島横断旅編。
日本の地域密着型でシンパシーを誘う。 ペルソナや女神転生好きにはたまらない
サクセスストーリーが如く、はじめの一歩が如く駆け上がる様は、読んでいてドキドキが止まらない。
しかし、そこで終わってしまわないのが『キラ☆キラ』の真骨頂。
"懸けてきた時間"という意味合いを現実的に考慮しつつ、予断のできない展開が待っている

 三章以降の個別ルートがもったいない! の一言
賛否両論あろうが、持ち上げるだけ持ち上げといて、打ち切り御免は「あぁぁぁあぁぁ(´Д`)」な気持ちでいっぱい
それでも十分に"個別"ルートを描ききっていたので概ね満足
特にきらりEND1はハンマーで頭をぶったたかれたような衝撃を受けること請け合い
ぜひラストにプレイを

 どうやら私は、日本の生活様相を模写したADVはシンパシーが得られなければ認められない、ということが分かった
ここでいうシンパシーというのは、実生活上で感じるであろう大衆観念や常識的事実や社会性や生活観なのだが…
どうでもいいが有名な代表作品でランク順にしてみた
Key系(最低ランク)<他の普通のギャルゲー(平均以下)<君望(及第点)<キラキラ(AAA)<だめ恋(S)

グラフィック 4点
 敢えて言おう。私はGROOVERの頃からこの絵に拒否反応が出ていた
実際グリーングリーンは体験版で投げた。
そして…結局拒否反応が出ました(笑。 しかし、服を着ている状態の立ち絵に拒否反応がでただけで、
グラフィッカーさんや、チーフのコシイシタカシの手腕により、肉体美がアニメチックに美しかった

 だが、「キラ☆キラ」のグラフィックの優れているところは原画ではなく、
背景と、効果彩色
風動画文化発展有限公司の手がける背景は手抜きが一切なく、南列島津々浦々全部に用意してあり臨場感が高まる
ライブ場面の光の加減や、楽器類の彩色が煌びやかで非常に鮮烈
ただし、ライブシーンの画像の量が足りていなく、同じ画像を何度も使いまわすことになっている
ついでに全員集合のライブ場面の原画が安定していない

 立ち絵が全体的に悪く、作品の良さを損なっている。 もっと感情をあらわにできたり、動作を体で表現できたら良かった
登場する立ち絵キャラも少なく、某両親やら家族やら、必要なキャラクターはたくさんいただろうに

音楽 5点
 はは、何だよ、Let's Jumpごとき、普通のポップロックじゃねーか…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ごめん、私が悪かったDEATH。 lip on hip の音響のライブ臨場感が凄すぎる
何よりボーカル楽曲10曲が驚異的。


 STAFF見ても第二文芸部演奏ってことになっていて詳細な演奏者は分からないが、
楽曲提供がmilktubになっているので、彼らの生演奏ってことでいいのかな
作品とのコラボがすばらしく、ドラム・ベース・ギター・ボーカルの一体感が最高

 楽曲の特徴はイメージ上パンクロックなのだが、商業的に成功している名パンクロッカーに届かないのが目に見えていたのか
ゲーム音楽に寄ったポップ的な印象が強い。 が、バックの演奏が力強く、作品の中核となる名曲ばかり

 第二文芸部はUR@N氏、HAPPY CYCLE MANIAはYURIA氏がボーカリストとなっている
後日発売の第二文芸部のアルバムにはHAPPY CYCLE MANIAのa song forが入っていなく残念
劇中バンドが現実のバンドとしてインディーズレーベルで活動する愛ある音楽ゲー

 BGMもms-jackyと一番星氏の製作で作品のノリを十分に理解したギター色の強いもの。

 お勧めは第二文芸部のgo on a trip, traveler, lead to you dream
そしてHAPPY CYCLE MANIAのa song for

文章(力) 5点
 ……なんでこんなに共感できてしまうんだろう。 私は"人間失格"なんだろうか…?
そんな風に思わせられる作品だった。

 最初の一人語りはノれなかった。 ぐだぐだ続く、価値観のずれた主人公の思考を受け入れられなかったからだ。
バンドの練習を開始したときも、バンドチュートリアル的な内容は省いてあり、ある程度上手くなってからの文章であり、
作曲なども詳しいコードやら具体構想の仕方を描いていなく、ロックに興味のない私は少々落胆した

 だが、どうしたことか、学園祭が終わったあたりから、各キャラクターの人間味が色濃くなり、
全員何かしら"欠けている"という、瀬戸口氏の特異文章が表面に出始める。
主人公の思考回路もどんどん"等身大の人間味"を帯びていき、世界の全てに親近感を持つようになる。何というマジック。
そして、物語上、最も"欠けていて"、"人間失格"の仮面を被っている主人公の生き方、感じ方が、一人称視点のため全編に続くようになり、
もう止まらない、止まれない。 歪曲しながらも、現実を思う一人の人間の考え方を一心に投じた作品と相成った。
それがまた、誰もが一度は考えたことのあるであろう、「キラキラ」した見方であったり、「どす黒い」見方であったりする。
主人公のことはあまりに"自分過ぎて"嫌いになるだろうが、彼の考え方は大好きになるであろう。

 全体の印象はあまりに"等身大"
超絶な展開があるわけでもなく、一人の人間が現実的に可能な最善の選択までしか用意されていない
周りの人間も等身大で、シンクロすることは間違いないだろう

 旅編の地方の描き方やライブハウスの様相は卓越している。
こんなに生活臭を出されては好きになるしかない。
ハハハ、見ろ! Keyがゴミのようだ!

 音楽的な部分については、あーと、えーと…
ファッキンだぜロックン! ファック!ファック!ファック!
なノリでいくかと思ったら、そうでもなく案外冷静。 メッセージ性は主人公らの生き方に多分に与えられていて、
パンクロックは現実の有名ロックローラーの名前が挙げられる程度で、主人公の自己認識に納められる。
打ち上げやらリハやら舞台裏やらライブハウスやら、削減されつつも描いていてバランスは絶妙。
音楽の感じ方・受け取り方の感情的部分が、主人公の心理描写と交錯するため説明不足は仕方がない分、
"心情相応"の感じ方ができるという稀有な作品。

 専門用語などはプロデューサーのbamboo氏の意向が入っているのだろう。
バンドの面々が上手くなっていく練習模様を忠実に文章に表してほしかった。

システム 2点
 はっきりいってこの作品の足を引っ張っている最低な項目
 まず演出面
立ち絵の表示が一様で、奥行きも使えなければ、左右に動きもしない
これのおかげでライブシーンが一枚絵に頼りきりという、グラフィック陣営に負担をかける要素となり
結局予算やら時間の関係上、ライブシーンの画像数やクオリティが削られマンネリ気味。
ギターやベース、マイクをもった立ち絵を縦横無尽に走らせることができるだけで全然違う印象になったと思う

 次のコンフィグ系
既読文やオートの文字色は変更できるのに、未読部分の文字色が変更できないのは何かの嫌がらせだろうか?
文章が全画面表示なので、グラフィックをバックグラウンドカラーを消してプレイしたい場合、
未読文章色が白限定なので文章が読めない。 多少袋文字のおかげで認識できる程度

 全体のコンフィグは、エフェクト速度と文章速度程度しか変更できない
スキップが鈍足なため周回プレイが億劫
そしてライブシーンがスキップできず、ライブシーン後スキップが解除される
これがかなり痛く、二章は選択肢がほとんどないので放置プレイで未読に飛びたいと思ってもいつの間にかスキップが解除されている

 BGMが全く鑑賞できないというのも問題。 サントラはソフマップ限定の非売品? そんな馬鹿な…
ボーカル曲は聞けます。

熱中度 4点
 主人公がXXした辺りからもう止まらない、全速前進!

 ただ、スタートダッシュから3時間ほどがかなりマズイ
最初の頃は主人公の語りが特異すぎというか、毒もなければ段差もない平坦な感じなので投げ出す可能性がある
ぜひ最後までプレイしましょう。 彼・彼女らの性格云々の伏線回収も見事です!
>
 システム周りが良くなく、演出やスキップが貧弱なため周回プレイ時は興味が薄れるかもしれない
きらりシナリオをラストにもってきつつ、スキップ中は他のゲームでもやって時間を潰して未読部分だけ楽しみましょう
余韻度 4点
 はー、いやー、凄かったなぁー
そんな感じ。 こんな身近に感じられる体感ADVは久々でした
ラストのシナリオの切り方がちょっち微妙ではあったが、それを飲み込んでしまえるほど全体のグルーヴさがあった
何より、感情の逃げ場がないため、洋楽を、ロックを、音楽を、愛してしまいそうになる
浸れる優良ゲーム

総評 A
 インガノックと明日せかを残しての2007年度最優秀作品
上記の2本がこれを超えなければ決定

 私は洋楽というか、R&BやRock'n'Rollには興味などなく、アコギ持ってても弾かないかけ離れた存在です
ゲーマー脳な私は、Good CharlotteやEarth,Wind & Fireぐらいしか聞かず、クラッシュやチャック・ベリーやセックスピストルズなんて知りもしない
ゲーム中に単語が出るたびgoogleで調べるくらいでした
だのに、瀬戸口廉也氏の描写のおかげ、ライブハウスに行きたくなりました(笑
熱く、暗く、それでいてキラキラしていて、無我夢中な、欠けている何かを知る物語―――

 swan songは土台が素晴らしくシナリオを投げっぱだったので絶望したが(それでもA評価)
「キラ☆キラ」はシナリオ面が他を圧倒していて、その広大な日本を見る目と、学識と心理描写に脱帽した。
最後はやっぱり投げっぱだったけど、そんな瀬戸口廉也氏が大好きです


posted by PP at 23:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
キラ★キラを好評価されているので、その系統の「グリーングリーン」を是非プレイしてみて下さい。
制作関係者は、同じ人多いし。
(1・2・3と3作あります)
最新作のプレイに時間をとられ、旧作をプレイする時間が無いかもしれませんが、よろしければプレイしてみて下さい。もちろん、レビューも!
是非、ご検討を・・・・。
(その場合、1の早苗ルートもコンプして下さい。批評がみてみたいです。3が1番良いという人が多いのですが、個人的には1の早苗ルートがアレで・・・。)

>「GROOVERの頃からこの絵に拒否反応が出ていた」と書かれていますが、プレイ無理かな・・・・orz
Posted by 通りすがりの人 at 2009年05月21日 08:38
補足なんですが、自分も「絵」はイマイチな気がします(笑)個人的好みもあるでしょうが。
ストーリーはイマイチだけど、これより「絵」はすごく良い作品は山のようにあると思うので(笑)

でも、この作品は個人的にストーリーとか好きです。
曲も結構良いと思いますし。
それなりの古さは感じるかもです・・・。


Posted by 通りすがりの人 at 2009年05月21日 08:47
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