2007年12月04日

明日の君と逢うために

明日の君と逢うために
明日の君と逢うために
メーカー Purple Software発売日 2007/11/30
シナリオライター 鏡遊、北川晴 原画 まっぴーらっく
明日の君と逢うために

レビュー
シナリオ グラフィックス 音楽 文章(力) システム 熱中度 余韻度
2 5 3 3 5 4 2
総評 C 60

一言で締めるのコーナー
「設定を投げ捨てた高水準活劇」


以下詳細レビュー
シナリオ 2点

 で?

という作品だった……。  いや、もうね、前提条件から氏んでいる上に、何一つ解説してないのだから物語として成り立っていない
往年の名作(とは私は全く思わない)、OneやKanonに高得点を付けられる方には満点でしょう。
そうですね、上記の作品の言葉を借りるなら
「神様はここにいるよ」by One
「奇跡は起こらないから奇跡っていうんですよ」by Kanon(まんまやん)

 大まかなストーリーは、主人公がメインヒロインに逢うために東京から出戻り、
かつて彼が住んでいた島、御風島の神秘に触れつつ他のヒロインとイチャラブしよう…というもの
ここでポイントなのが、"触れつつ"であって神秘を紐解こうとか、そんなものがいっさいないこと。
伝記のデの字もない。

そして主人公の目的意識があまりに希薄で感情移入する隙がないこと
七年も思い続けたヒロインのために、東京からわざわざ出戻って、島で再会してさぁどうする!
な、はずなのに、他のヒロインに諭されるほどメインヒロインをスルー
しかもメインヒロインに対する固執を、執着を、一切合切省いており、七年前の回想シーンがほとんどない。
主人公がどこまで本気なのかさっぱり理解できないし、
他のヒロインの(メインヒロインへの固執具合が)嫉妬対象にされるので、ただの道具付けにしか見えない

最初に、七年前のメインヒロインに対する切実な思いを数十分にわたり回想していたら納得できたのにね……
 つまり、全ストーリーの基軸になるメインヒロインへの想いが薄く、
土台となる島の神秘が論理解釈でないため、全シナリオが薄く、滑稽。
 各ヒロインたちとの恋愛模様は及第点であり、シナリオ以外の面が優れているため楽しめるには楽しめる
しかし、山場になれば山場になるほど土台の抽象さに反吐が出て、作品を好きになれなくなる
キャラクターは好きなんですがね…

 告白したら(されたら)、ブラックアウト次の日、とかが多く、
どこのドラマのシーンカットだよ…と現実感をそぐ要素多数
グラフィック 5点
 最強、無敵、強靭、大喝采!
 立ち絵が顔パーツ変化だけでなく、全身動作変化多数
 OPムービーが高レベルアニメーション。 巧み。
さすがに新海誠氏には劣るかもしれないが、JellyFish+LOVERSで有名な滝美梨香氏なので高品質
というかメインヒロインの原画はこちらの方がいい
 背景が綺麗なループ動画。 嵐の日の雨のアスファルト上の流れなど、細かい所に凝っている
 一枚絵が立ち絵と違和感なし。 超安定。 4社共同。
服の影も光の加減も肉体美もパーフェクト。
ただ、一枚絵の時だけ目を閉じたときの睫毛が濃い、そしてモザイクが適当
 制服のセンスが半端じゃない。 脇下とか見えてますよ(笑
 主人公のバイトの制服に萌え(笑
 メインヒロインの前髪の頂点の収め方がデザイン的にビミョー
角ばった感じにすればOPムービー同様可愛くなったと思う
音楽 3点
 典型的な打ち込み。 全体で見ると普通。
BGMの中では唯一ただ、この手にあることをの前奏の旋律が回生の感動を味わえるものだったが
サビで下落
 ランティスの橋本みゆき氏が唄う主題歌、TIMEはムービーとも相まって電波られます
タイトル画面で毎回流れるし、instrumentalやオルゴールが作中で使われるので覚えてしまってノリノリである
文章(力) 3点
 毒舌、そして中傷友情
いや、ね? 夢見師のような一対一での対話の上で相手を罵倒したりするのならいいんですよ
目に見えて相手を気遣っているのがわかりますから。
でも、この作品のキャラクター達は、多人数でも、中傷する対象がその場にいなくてもズバズバ言います。
しかも、あながち冗談とも言えない様相で話しているので質が悪い。 もうただの陰口です

 え? それの何が悪いか、ですって?
自分のいない所や、自分の予想もしない事態で、他動的に他者に自分の性格を固定化されるからですよ
たとえば、A氏自身は頭が悪いと思われることを良しとしていないのに、(A氏の本質はこの際置いておきます)
A氏・B氏・C氏・D氏で会話をしている時、B氏がC氏とD氏に対して「A氏ってば、あの時〜〜で〜〜でさぁ、馬鹿みたいだろ」
ということを本人は冗談かもしれないが、性格を固定させるような台詞を言うわけです
そうすると、C氏とD氏は少なからずA氏は「頭が悪い」という印象を受けるわけです。
こういう言動は社会的に見れば、配慮の足りない稚拙な言動です
もっと具体的に言うなら、自分が友人と恋人の3人で会話をしていて、友人が恋人に自分の欠点を論えたらどうでしょう?
口は災いの元。 冗談とはいえ人間関係にヒビが入るのは目に見えています
そして、当人のいないところでこういう会話をするというのは陰口ですよ
笑いを取るためのライターの特徴的文体だが、キャラクター達にはもっと時と場所を考えた配慮ある会話をしてもらいたい
こんなことを延々と続けられては気分が悪くなるだけである

特に兄貴は全然報われません、可哀相…
 まぁ、上記の部分を抜かして見ると中の上という具合
キャラクターの個性が抜きん出ていて非常に活き活きとしていて好感が持てる
笑いはあまり取れていなかったが萌えは十分ある。
ただ、ツンとデレの割合がよろしくない。 デレが1割程度しかない
キャラの性格が恋人になった後も殆ど動かないのは現実的でいいのだが、欲を言えばもっとデレデレして欲しかった  
システム 5点
 ずっとPurple Softwareのターン!!
圧倒的じゃないか! 何なんだよ! これはぁっ!?
 まず最初にあげなければならないのが「演出」である
立ち絵の変化がナチュラルフェードでアニメーションを見ているようだし、
歩くときは立ち絵が上下するし、登場シーンは横からフェードインだし、奥行きも多少ながら使ってキャラを動かすし
背景は動画だし、会話中のキャラもバタバタ左右・上下に動くし……
フルスクリーンでプレイたくなるゲームは初めてでした
 そしてコンフィグの詳細さ!。 何じゃこりゃ!
最小化偽装・スクリーンセーバー無効化・非アクティブ動作設定・特殊フルスクリーンモード・解像度・フレームレート変更・縮小拡大補完の異方性フィルタリングやLINERフィルタ、POINTフィルタ選択・ディザリング補完・ディスプレイ検出・音声バッファ変更・ フォント設定・テキスト袋文字装飾、縁装飾、太文字装飾・カーソル自動消去時間選択・動画フレーム制御・マウスパット
さらに、ほぼ全ての動作にフェード有無し・フェード時間設定が可能
これが非常に優秀なフェードで、音楽から終了画面から画像演出から立ち絵演出から何から何までフェードするので、
その自然さが好感触でゲームという虚構を紙やすり2000番で削った"丁寧な作品"に仕立てている
活劇を見せられている、というほどの高水準システム
熱中度 4点
 なんと! 体験版が共通シーン全部だったとは…。 全体で見ると共通が3割程度。
個別は適度な長さ。 選択肢も簡単で短時間のコンプリートが可能。
グラフィックとシステムが卓越しているため熱中はできる、ヒロイン達も可愛らしい
 女性声優陣が鉄壁の布陣であり、
泉水小夜は、最近だと『ハヤテのごとく』で人気の桂ヒナギク役の伊藤静さん

明日香は安玖深音さん
里佳姉は姉をやらせたら右に出るものはいない一色ヒカルさん
月野舞は木村あやかさん
七海は風音さん。 ツンデレより天然馬鹿丸出しキャラのほうが似合っていた
余韻度 2点
 いや、ね、謎とか伏線とかきっと回収されると思っていなくもなかったんですけど
結局ご想像にお任せしますネタかよ、帰って下さい
何一つ解明されません。 ヒロインと恋愛することだけが売りのシナリオ
しかし全体のクオリティが超絶に高いためにプレイを放棄することもできず……
総評 C
 グラフィックやシステムはageに勝るとも劣らない
雰囲気で勝負なゲーム。
シナリオには期待せず、エンターテイメント気質のハイクオリティギャルゲーだと思って、
ヒロイン達に萌えきるのが吉。
 私は伊藤静さんのファンだったのでこれはこれでアリだったと…
 シナリオ外注にすると手の付けられない怪物になったであろう作品。
Purple Softwareはこれ以降も買い決定。このレベルでやられたらシナリオが駄目でも買ってしまう


posted by PP at 22:23 | Comment(3) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。PHOOと言います
まだ瑠璃子シナリオしかプレイしていないので恐縮ですが、シナリオの評価について一言コメントさせてください。

島の神秘について瑠璃子シナリオでは何も解決していませんし、レビューを読む限り恐らく最後まで神様等が存在する、呼び出せる等の理由は明確にならないのでしょう。
でもこれは多分、ライター側が、「神が実在すること自体が不思議で、その理由を解決する」のではなく、「神が実在したとしたらこんな不思議な物語が出来るだろう」という、不思議要素をあくまでガジェットとしてしか捕らえていないからなのではないでしょうか。
もちろん読み手としては気になる点を全て明らかにしてもらった方がスッキリしますし、シナリオにも説得力が生まれますが、このシナリオではあくまで恋愛がメインで、色んな設定はそれを彩るためだけの存在、という気がします。
もちろん7年思い続けた明日香に対する主人公の意外なまでの淡白さなど、恋愛の描写についてもイマイチな点はありますが、
少なくとも「非現実的な設定を、このゲームの中では当たり前のものとして受け入れるなら」割と泣ける話として成立している点は、非現実的なことが起こる理由の設定をロクにしていないKanonよりも評価していいのではないかな、と思いました。
あとは大体同じ意見です。画面効果や細かいところまでよく作りこまれてると思いました。
出来れば「アカイイト」みたいに、恋愛物語としてだけではなく伝奇小説としてもこの物語を楽しみたかったですね。
それだけです。いきなり長文で失礼しました
Posted by PHOO at 2008年02月28日 20:12
 そうですね。うん、そうですね。付和雷同。
 
 中々、下調べしてまで、ジュブナイルで伝奇を書こうとされる方はいらっしゃらないのが惜しいですね。
 「アカイイト」は感服する他ない雑学辞典ですからねぇ。設定より著者の努力に脱帽です。
Posted by 管理人 at 2008年03月02日 23:33
やっと明日香まで終わって貴レビューを見直してみましたが。同意すぎます。。

明日香の最後のアレはなんじゃ!とほほ・・・。
せっかくヒロイン視点があるのに主人公は結局なにもヒロインのこと考えてないのか?的なシナリオにorz

もうちょっとがんばればそこそこ感動できるお話になるような気がするんですけどねー。
とはいえ、私は結構楽しめました。メインヒロインが他のルートたどってるときにちょっかい出してくるのがうっとおしかったです。
邪魔だ!こっちは素直に幸せなんじゃ!とww
Posted by きら at 2008年04月12日 15:01
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