2010年06月04日

エヴォリミット

エヴォリミット
エヴォリミット
メーカー propeller発売日 2010/05/28
シナリオライター 東出祐一郎 原画 中央東口、mozy
エヴォリミット

レビュー
シナリオ グラフィックス 音楽 文章(力) システム 熱中度 余韻度
3点 4点 3点 4点 4点 3点 4点
総評 B 70

一言で締めるのコーナー
「正当進化」


以下詳細レビュー
シナリオ 3点
 限界進化エヴォリミットである必要はなかったのでは?
災害の猿たちカラミティモンキーズで良かったと思うワタクシ。

 公式HPを見て、エヴォリミットに期待したそれは、
とある科学の超電磁砲的な、学園都市超能力バトルだったわけです。
超人的少年少女学園都市バトルADVって書いてあるしね!!

 ところが、エヴォリミットは、何のことはない、逆向性健忘性によるパッチの容認から始まります。
スロースターターな物語は、求めていた学園都市と違うものでしたし、
共通ルートは、ほぼ世界観導入で、戦闘は1回という具合です。
つまり、学園・学生の意味が薄く、世界を許容する道具としての役割しか果たしていません。(学園イベントがない)

 そうして共通ルートを乗り越えたあとの、パッチバトルは、ルートで、各々3回ほど。
ゲームシナリオらしい今回の描写のせいで、こざっぱりとした印象です。(後述)
また、パッチバトルの根幹が限界進化エヴォリミットに集約していたため、(製作者の)勝利への怠慢が生まれました。
パターン化されたその軌跡は、心理描写を除けば、払拭できず、盛り下がります。
(パッチ能力によるドッキリや、戦術方面の描写がないという意味です。)

 【リーティアルート】
他二つに比べて明らかに短く、どっちかというとFD的なサービスシナリオでした。
空気キャラクターが多数生まれる。 唯一、不知火義一の補完ルート。
置き場がないに見習ってほしいロボットルート。

 【カズナルート】
みんな大好きカズナさん(ルート)。 萌えます笑えます。
リーティアルートより王道で、サブキャラの活躍も顕著。 Trueの雫ルートより盛り上がる。
でも最後の辺、失速していてもったいなかった。
最も楽しめたルート。

 【雫ルート】
最大の敗因は、上記二つのルートをクリアした場合のみ入れるTrue担当であったことでしょう。
これに意味が見出せなさそうで、見出せて拍手を送りたかった要素が、ファントムキラー関連のみというのが実に残念です。
(3周目のファントムキラーが予定調和じゃなかったという点においてだけね)
チャペック関連なんて単純にぶった切られたし、最大の伏線であった、冒頭の戦闘が語られず、
カラミティモンキーズ瓦解の描写もブツ切れ無念
という、3周目の意味合いが薄すぎました。
忍者はもちろん、背景の足りないシャノン&アースクェイク&ヴォルケイノ、
(公式HPでアビリティAなのに)全ルートで空気なアクア。
大団円とは程遠く、カズナルート程団結力が感じられず、サブキャラ全員突き放されて、終末は遥かかなたへ……

   そんなこんなで苦しい展開のエヴォリミットでしたが、
この作品の心引かれた設定は、超能力(パッチ)ではなく、
サイエンスフィクション……つまり、宇宙開発のそれである。


 PSアーカイブでポリスノーツをプレイし、ひまわりPSPも購入していた昨今、
開拓者のスペースストーリーは心躍る路線であり、
各国選出の宇宙飛行士たちは、一種の"天才”であり、それを内包した上でのウィットに富んだ会話の数々は、
カラミティモンキーズを魅力的なキャラクターに押し上げました。(現代編の不知火と雫を含む)

 シナリオ的にも、カラミティモンキーズ関連の、背景・記憶・人物・事象すべてにカタルシスがあり、
それがユーザーのプレイ意欲を繋ぎ止めていたと言っても過言ではないでしょう。(雫・ツナミ・チャペック含む)

 はっきりいえば、宇宙開発・国家間闘争・ロボットに感情はあるか
の3つだけで描いていれば神作品だったと思います。
まったくもってエヴォリミットは必要ありませんでした。

グラフィック 4点

 雫の眼が怖い。

 最大の不満です。 いやホント。
Bullet Butlersより格段にアゴがしゃくれなくなっており、
違和感バリバリだった線の細さも修正されました。(主に立ち絵)

 塗りが強化されて、デザイン・陰影・肉付きがNitro並に。

 また、Bullet Butlersで問題だった集団戦闘も、メカデザインがmozy氏になって何とかなるように。
でも立ち絵ないんだ……

 途中、ポチ先生の活躍シーンで、銀牙な集団CGが見れると思ったらそんなことはなかった……

 
音楽 3点
 挿入歌が一曲かつ、熱唱系でないのが非常に問題です。
戦闘シーンの、起死回生の音楽は、マキシマム・フレアココロの二曲に頼りきりであり、
ほぼ同展開かつ、テンプレート使用なので、雫ルートでは確実に『聞き覚えがあるなぁ……』になります。

 マーズライフのようなバックボーカル曲は、目黒将司さんを髣髴とさせるポップさだった。

文章(力) 4点
 今回のエヴォリミットで感じられたことは、
究極的にADVゲームシナリオに成っている、ということでしょう。

 たとえば服装、たとえば情景、そういう描写がまったく存在せず、一人称の心情と台詞だけで構成されています。
それは、いわゆる、映像と文章のコラボレーションが成せる業であるが、これを意識して描くのは非常に難しい。
なぜなら、ライターとしてだけでなく、監督・ディレクターとして製作に携わり、文章に意図した映像を載せる必要があるからです。
まぁ、お抱え(所属)だったら無理ではないでしょうし、敏腕監督なら外注でも巧くこなせるでしょうが、
ここまで(描写を)、意図して削ぎ落とした作品は稀でしょう。 明らかに東出祐一郎氏が創ってます。

 しかし、そうして完成された分、読んでいるユーザーは、まるで『あらすじモード』を読んでいる気分になります。
必要にして十分な描写しかない、というのは、極めて短いという事になりますが、
それを補う心情描写とコメディは、ライターの手腕が発揮された結果となります。
しかし、この作品に最も期待されていたであろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦闘描写がコンパクトになってしまいました。
また、一定パターンの勝利法則もそれに拍車をかけました。
創りこめば創りこむほど、受け手の配分も考慮せざる負えないというのは、創作者の苦悩でしょう。

 また、『あらすじモード』に感じられるのに、実プレイ時間は膨大という奇異な体感を得ます。
コメディ部分が大量に投下されているのに、天才達の狂言集といった把握感は、スパイスとして絶大でしたし、
非戦闘時のキャラクター相関も卓越しており、ラブコメも十二分でしたが……
それらを担う、小イベントの全体像は一瞬で分かるのに、件が非常に長いのです。
台詞と心情しかないのに長いと感じられるのは、『心情が状況を語ってしまった』という点でしょう。

 まぁ、それでも、ADVゲームなのに、無駄な描写を含むゲームより感覚的に楽しめるのは確かですし、
真逆の、描写を放棄した副産物でできてしまったゲームなんかと比べると月とスッポンでしょう。

 毎度ながらキャラクター造形は素晴らしく、愛されキャラ多数。
その分、今回は空気キャラや意味不明キャラがいたのが残念。
忍者とかいりませんでした、本当にありがとうございました。
また、掘り下げれたであろうカラミティモンキーズのキャラの放置もいただけなかった。

システム 4点
 立ち絵を動かさない分、カットインとエフェクトで魅せてくれたpropeller。
クオリティが相応に高く、前二作で培ってきた全てを投入し、さらに正当進化を遂げました。
これで立ち絵動くようになって、戦闘シーンが増えていたら、と思うと残念でなりません。
(立ち絵はかなり自由表示できているが、戦闘シーンで動かしたりはしない)

 今作もジャンプ機能を搭載しており、既読ルートならワンクリックで選択肢へ。
既読文章なのにプロットイベント判定なので跳べなかったりと惜しい部分もあるが、
他のギャルゲもジャンプ機能を基本システムに入れてほしいと思いますね、propeller作品やると。

 超絶問題だったのが、EDテロップがルート初見で飛ばせないのに、
最後のCGのネタばれをする事!!

   
熱中度 3点
 序盤のパッチ導入編を抜けるまでは個人的に不満でした。
先入観的に、学園都市の、いわゆるDクラス主人公のサクセスストーリーだったので(汗

 しかし、リーティアルートとカズナルートは、非常にロボロボしてて(ぇ)、
チャペックがしゃべるたび、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!! ってなってました。
ラブになるまでの描写が若干足りませんでしたが、
友人らに囃されることが全ルートにあったのでおいしかったです。

 足りなかったのはハードボイルド。
そして戦闘の総合数。

 今回も主人公がフルボイス、近藤隆氏なので、裏声十八番。
コメディ部分のセクシャル要素に大貢献。 変態だーーー!!

余韻度 4点
 はっきりいって、雫ルートはノリきれなく、惰性でクリアしましたし、不可避な最終ルートなのでマイナス1点です。
雫のキャラ設定は大好きだったが、雫自体に魅力が感じられなかったのが不満大。(眼が理由じゃないよ!!)
選抜試験〜カラミティ崩壊までを細かく描写できていれば、雫に惚れたでしょう。
というか、彼女に並びたいと思う描写の堀り下げができた不知火には、共感できてしまった不運。
雫ルートは、むしろ不知火&ファントムキラールートでした。

 ただ、超絶に萌えたキャラクターがいたのでプラス1点。

それはブラザー・チャペックだ

彼に大いに萌えた。
人間に近しい存在であろうとしたチャペックが最愛キャラだったのは、
せっかく女性であったリーティア的にも、、
ストーリーの関係上、友人を傷つけられた際の明確な怨嗟描写があったり、
ムッツリと言われつつ公然猥褻主人公の片棒を担げたので、親友・悪友役の座が奪われた雫的にも、
エヴォリミットという、人間をやめることを題材にした作品的にも、
人間でないという属性を持たせてみて、『やっと』ヒロインだった置き場がないのシャノン的にも、
エースキラーでありダークホースでありました。

総評 B
 これまた、エヴォリミットの作中作に惚れた、的な感想になってしまいました。
実際、一番読み応えがあったのは、開拓時代の話とチャペック関連の話です。(あとラブコメ)
限界進化とパッチ戦闘は全く楽しめませんでした。 カズナさん技名自重w。
ただし、今作は、戦闘の割合が2割にも満たないと思うので、8割楽しめたということになります。

 しかし、作品的には、クオリティが文章に追いつき、propellerの看板作品の名に恥じない。
発売月の他ソフトとは一線をなしています。(というか他作品がただのギャルゲ)
5月に買うならこれ一択か?

 FDでカラミティモンキーズ編でないかなぁ……と期待してしまうほどの愛され先人達。
ツナミ・ココロ・チャペック(女体化)・ヘカトンケイル(女体化)希望wwwww。

 同時期プレイしていた置き場がない、というかあかべぇは、これを模範にすべきでしょう。
一人称における不必要な描写の削減や、CGの使い方、ロボット描写、
シリアスシナリオへのコメディの梱包の仕方……見習うべき点が多すぎます。

 公式HPの情報は混乱の要因なので、見る必要はないと思います。
特に世界観とかキャラコメントとかミニストーリーとか。

 エヴォリミットのシャノンは、シャノン・ワードワーズ(堀内賢雄)だからねっ!!

 


posted by PP at 19:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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